クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
そのことを失念して、素人の作った菓子を食べてもらう約束をしたことに後悔したのは、ついさっきのことだ。
楽しみにしている彼にいまさら、やっぱり食べないでくださいとは言えず緊張していた。
「瑠璃、どうしてそこに?」
そんな私の行動を不思議に思ったようで、凛久さんは怪訝な表情を浮かべた。
「緊張して……」
「え?」
本当にわからないと言った彼に、正直に口を開く。
「だって凛久さん、名店をたくさん食べてますよね。それなのに私のこんな素人が作ったものなんて」
家庭料理ならそれぞれの家の味というものでなんとかなるかもしれないが、職人がつくる和菓子はやはり別格だ。
キュッと俯いた私に声をかけることなく、凛久さんは透明の皿に乗った菓子をジッと眺めた。
「寒天の茶巾?」
「はい」
私が今日作った菓子は二種類で、夏ということを意識して涼し気なものにした。
「中には杏子とこしあんを入れてます」
楽しみにしている彼にいまさら、やっぱり食べないでくださいとは言えず緊張していた。
「瑠璃、どうしてそこに?」
そんな私の行動を不思議に思ったようで、凛久さんは怪訝な表情を浮かべた。
「緊張して……」
「え?」
本当にわからないと言った彼に、正直に口を開く。
「だって凛久さん、名店をたくさん食べてますよね。それなのに私のこんな素人が作ったものなんて」
家庭料理ならそれぞれの家の味というものでなんとかなるかもしれないが、職人がつくる和菓子はやはり別格だ。
キュッと俯いた私に声をかけることなく、凛久さんは透明の皿に乗った菓子をジッと眺めた。
「寒天の茶巾?」
「はい」
私が今日作った菓子は二種類で、夏ということを意識して涼し気なものにした。
「中には杏子とこしあんを入れてます」