クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
口直しをするようにお茶を飲んだ後、凛久さんはもう一つのシンプルな抹茶の水ようかんを口に入れる。

「うん、こっちもうまい。シンプルだけど舌ざわりが素晴らしい」
寒天もかなり長い時間かけて戻し、餡も何度も越して滑らかにしたつもりだ。

「よかった」
「水ようかんをあのパフェにどうかと思って作ってくれた?」

さすが凛久さんだ。今の白玉と餡だけではなく、抹茶、もしくは小倉の水ようかんはどうだろうと思ったのだ。

「はい、水ようかんはアイスと違う温度感もありますし、ソースをかけても相性がいいと思ったんです」

「確かにな」
納得したように仕事の顔になる凛久さん。そこで思い出したように私の顔を見た。

「今日はお義父さんともあったんだ」
「父とですか?」

両親から何も聞いていなかった私は、少し驚いて顔を上げた。

「そのソースに使うお茶の相談をしたくて、急遽伺ったんだ」
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