クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する

「詳しく話していなかったが、俺の親父を知ってる?」

凛久さんがあの会社の社長ということは知っていたが、彼のお父様については何も知らない。首を振れば彼は小さく息を吐いた。

「藤堂フードカンパニー」

「え?」
藤堂フードカンパニーと言えば、誰もが知る大企業だ。近所にあるファストフード店もそうだし、表参道の今のカフェの近くのおしゃれなイタリアンレストランもその系列だったと記憶している。

最近海外にも店舗をだしたとニュースで見たことがあった。社員何万人を抱える日本でも有数の企業だ。

「そこの社長が俺の父親だ」
「なっ」

言葉がうまく出てこなかった。スタンリーカフェの社長というだけでも、すごい人と結婚したと思っていたが、まさか凛久さんがそんなすごい企業の御曹司だったとは。

言葉を失った私に、彼は苦笑する。

「父は俺に会社を継がせるためだけに育ててきた。しかし、今俺がこうして勝手にビジネスを始めたことを面白く思っていない」
「それで……」
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