クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
実際の年齢より幼くみられることもあり、それがたまに悩みだったりもする。

実家は老舗の創業百年以上続くお茶屋問屋で、小さい頃はそこそこ裕福な家庭だったと思うが、三代目の父が品質重視の職人気質で、ここ数年は経営が著しくなくなり、実家での仕事もなくなってきたため、ここのバイトをメインに、短期で入れるバイトなどたくさん掛け持ちしている。

「おはよう」

「あっ」
膝をついて描いていた私だったが、後ろからポンと肩を叩かれ手が滑ってしまいつい声が漏れた。

「ごめんごめん」
日の光を後ろから浴び、緑の中に立っているその人はにこやかな笑みを浮かべていた。

身長は百八十センチはあるかもしれない。二重のキリっとした目に、鼻筋が通りとても整った顔をしている。さらりとしたホワイトのシャツに、ブラックのパンツというシンプルな装いがまたよく似合っていた。

「大丈夫です。おはようございます」
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