クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する

焦っている私に気づいたようで、ジッと凛久さんの視線を感じて何かを言われるかと身構えた。

「まあ、いっか。じゃあ行こうか」
いつもの凛久さんに戻ったことに安堵すると同時に、ようやく周りを見る余裕ができる。
私にあんなことを言ったが、今は道行く女の子たちが凛久さんに視線を向けるのがわかる。

『モデル？　芸能人？』
そんな声すら聞こえてきて、私は言い返したくなって口を開いた。

「私なんかより、みんな凛久さんを見てますよ」

「別に誰が俺を見てても関係ないよ。瑠璃が見てよ」
「ッ！」
反撃をしたつもりが、倍の甘さで返され私は羞恥でうつむいた。

今日の凛久さんは甘い言葉を言い過ぎだ。
デート用にしているのだろうか。そんなことが頭をめぐる。クスリという笑い声が頭上から聞こえて見上げれば、楽しそうな凛久さんの瞳があった。

「からかわないでください！」