クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する

「こんなふうのあてもなくどこかに行くことがあまりなかったからな」

「じゃあ、今まではどんなデートを？」
心の中で気にしていたことが、零れ落ちてしまい私はハッとする。

「気にしてくれるんだ」
まるでそれを喜ぶような反応に私は訳がわからない。ただの契約妻でも少しは好意を持ってくれているのだろうか？
そんな私の気持ちをよそに、彼は話を続ける。

「こんな風に街を歩くデートは初めて。何も予定がなくても瑠璃とならたのしめると思った」

「え？」
そんな風に思ってくれていたことに、私は驚きと嬉しさが溢れる。

「嫌だった？　完璧なデートプランを立てた方がよかった？　それなら今からすぐに予約をする」
そう言いながら、凛久さんはポケットからスマホを取り出す。

「嬉しいです！　こんな風にブラブラ歩いて、目についたものを食べて、好きなものを話したりしたかったです」