クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
そして、凛久さんの好きなものも知りたい。それは言葉にしなかった。

こんなことを言ってしまえば、凛久さんに負担になる気がしたのだ。

「そっか。じゃあそうしよう。あとひとひとつ気になっていたんだけど」

「はい?」
 言葉を止めた凛久さんはジッと私を見つめた後、そっと首元に手を伸ばした。

「今日の服にすごく似合ってるけど、これはどうした?」
 服は凛久さんも購入したことを知っているが、ネックレスは確かに初めてつけたものだ。

 やはり安物はまずかっただろうか、そう思いながら自分で首元に触れる。

「やっぱり安物はわかっちゃいますか? 少しでもおしゃれをしたかったから」

「違う、そういう意味じゃなくて。誰かにもらった?」

「え? もらってないです。昔自分で買ったんです」
 どういうつもりで彼が言ったかわからない私は、彼を見たまま首を振った。
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