クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「どうりでいつもお茶に詳しいんだね」

褒めてもらうのはいくつになっても嬉しいもので、私は照れてしまう。

「ありがとうございます。どうぞお好きなのを選んでいってくださいね」
まだ黒板が書きかけだったこともあり、足を止めさせてしまい申し訳なかったと、私は自動ドアをあけ店内へと促す。

「ありがとう」
さわやかすぎる笑顔に見惚れてしまい、後ろ姿をしばらく眺めてしまっていた私は、我に返るとしゃがみこんだ。

今日は会えたな。

ずっとプライべーどに割く時間はほとんどなく、誰ともお付き合いすらしたことのない私の、密かな楽しみになっているのは誰にも秘密だ。

黒板を書き終わり店内へ戻る途中、窓際でパソコンを見つめている彼を見つけた。
六十席ほどある店内は、ほぼ満席にもかかわらず彼だけが目に入り、少し恥ずかしくなる。

しかし、まだ帰ってない事実に嬉しくもなった。
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