クールな御曹司は湧き立つ情欲のままに契約妻を切愛する
「ごめん、一緒にいたいけど行かなければいけないから。夜仕事が終わったら迎えにくる」

「すみません。ありがとうございます」
瞳が揺れていて、何かを言いたそうに見えた。その内容がどんなものなのかわからず、私もただ彼の瞳を見つめ返した。

その日の夕方、凛久さんは病室に戻ってくると、私のそばへとやってきた。

「体調は？　ドクターからはもう問題ないと聞いたけど」
「もう大丈夫です」
久しぶりに一日何もせず病院で休んだおかげで、身体は以前より調子がいいぐらいだった。

それとは裏腹に、心は昨夜のことを凛久さんがどう思っているか不安だらけだ。
あんな風に、結婚をやめたいと感情的で伝えてしまった。それに対して、怒っていても仕方がないと思う。

それでも迎えに来てくれたことに、安堵している自分がいた。

「帰ろう」

そのセリフに泣きそうになる自分がいた。やっぱり凛久さんと一緒にいたい。その気持ちがこみ上げる。
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