愛たい夜に抱きしめて






─────それから。

あれよあれよという間に春休みに入り、なぜかその間中ずっと、檪家でご飯をご馳走になり。


たぶん、きっと、少しぐらいは仲良くなって。
わたしの膝枕も、すでに習慣となってきた頃。


流れるままに、春休みがあけて。


運命とは、実に皮肉なもの。




「…………、」



呆然と、自分の隣にゆったりと腰掛ける人物を信じられない目で見上げた。

……ううん。どちらかというと、信じたくなかったのかもしれない。




「……乃坂さん、1年間、よろしくお願いします」




ぺこり、と席替えナシのクラスにて。


わたしの左隣、紫昏くん。

そして─────わたしの背後、現在空席の場所に氷昏くんという、一波乱ありそうな新学期が、幕を開けた。



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