愛たい夜に抱きしめて
「氷昏兄さん、急に今朝行くって言い出してしまって。僕が出る3分前に」
「あ、あはは……」
それはそれはハードな朝だったんだろうなあ……。
「……だって、きよらも同じクラスだって、言ってたから」
「……朝からこの調子で」
今度は鼻の付け根を揉んでいる紫昏くんは、本当に気疲れがひどそう。
……そしてこの兄弟、わりと自分の発言を考えないことが判明した。
「……あのね、氷昏。それだと、わたしに会いたくて来たみたいに勘違い、」
「え、そうだけど」
……今度はぜんぶ言い終わる前に肯定されてしまった。
なんだろう、この兄弟。
言動は似ていても、外見や雰囲気、性格が不一致を起こしすぎていて、頭の中でバグが生まれてしまいそう。