愛たい夜に抱きしめて
「…………、毎朝毎夕会ってるのに?」
「うん」
無邪気な子供みたいな、無垢な瞳。
これを前にして、苦言を呈せる人がいるだろうか。いやいない。
理由はどうあれ、氷昏が学校に来るようになってよかった、のかな……?
「……そっか」
「ん。そう」
へにゃり、微笑んだ氷昏は、兄というより、やっぱり弟っぽい。
紫昏くんがしっかりしすぎているせいか。
はたまた、氷昏が怠惰すぎるせいか。
氷昏と紫昏くん、立場を交換したほうがいいんじゃないのかなあと、真面目に思う。
「……あの、紫昏くん」
「はい、なんですか?」
「……わたし、もしかして、氷昏に妹か猫みたいに思われてたりしない、かな?」
「……ほんっっとうに、兄が大変な失礼をっ……、」
その時の紫昏くんは、本当に土下座してきた。