ばぶる
家から続く下り坂は

自転車だとちょっと危ないくらい急で

全力では走れない

だから小走りで進むだけ

それでもこの暑さの中で

涼しさを感じるくらいには速かった

頬にあたる湿った風

「 ひまり、俺さ… 」

「 何?速くて足もつれそ……… 」

「 ーーーーー 俺と付き合って 」

え、待って待って今なんて言ったの

驚きのあまり無意識に振り返る

目に映るのは奏翔の真剣な眼差し

「 本気だよ 嘘じゃない ひまりが好き 」

嘘、ほんと?なんで?

って言いかけた私の思考を読み解くように

奏翔の一言一言は的確だった

「 ありがとう 嬉しい… 」

胸がバクバクして 頭も回んなくて

走ってたのに急に止まったから

息もちょっと上がってて

何から何まで訳が分からなかった

「 ひなたって俺の事好きなの? 」

「 ーーーー 好き…だよ ずっと 」

そう伝えてもう一度奏翔を見ようと思ったその瞬間

…… ぎゅっ
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