初恋




「…莉央?」



もしかして、落ち込んでる?



「どした??」

『…う……ッ』

「―――…」



莉央……泣いてる…?



「莉央。どしたの??
ゆっくりでいいから、話して?」


あたしは手をつけていない冷めかけた料理をキッチンに戻し、自分の部屋へ向かった。

莉央はしばらく泣いていたけど、だんだんと落ち着いてきたようで、ゆっくりと話し出した。



『……ズ…ッ
あのね……、放課後、
清水くんと話したんだあ』


清水くんとは、莉央の好きな人。



「…うん」

『勇気出してね、
…話しかけたんだよ』

「うん、頑張ったね」

『でもさ、
……話しかけなきゃ良かった……ッ』

「………」

『清水くん……彼女いるんだってさ……』




電話の向こうの莉央が、泣き笑いを浮かべてるような気がした。



< 52 / 99 >

この作品をシェア

pagetop