初恋
「…莉央?」
もしかして、落ち込んでる?
「どした??」
『…う……ッ』
「―――…」
莉央……泣いてる…?
「莉央。どしたの??
ゆっくりでいいから、話して?」
あたしは手をつけていない冷めかけた料理をキッチンに戻し、自分の部屋へ向かった。
莉央はしばらく泣いていたけど、だんだんと落ち着いてきたようで、ゆっくりと話し出した。
『……ズ…ッ
あのね……、放課後、
清水くんと話したんだあ』
清水くんとは、莉央の好きな人。
「…うん」
『勇気出してね、
…話しかけたんだよ』
「うん、頑張ったね」
『でもさ、
……話しかけなきゃ良かった……ッ』
「………」
『清水くん……彼女いるんだってさ……』
電話の向こうの莉央が、泣き笑いを浮かべてるような気がした。