初恋
あたしは走って彰の家を出た。
「暑――…ッ」
あたしが出てきた瞬間、
…莉央が駆け寄って来てくれた。
照りつける太陽。
汗だくの莉央。
こんな暑い中、
ずっと待っててくれたんだ……
「姫芽ッ?……大丈夫だった?」
「……」
「もしかして…泣いた……?」
「…ん。…平気」
「…そっか。頑張ったね。
…帰ろうか!!」
深くは聞いてこない莉央。
…良かった。
今聞かれても、上手に話せる自信がない。
莉央はそれをわかってくれたんだよね。