初恋
『あ…夏実』
―――…彼女だ。
直感でわかった。
清水くんを呼び捨てで呼んだことと、
……清水くんの…笑顔。
さっき自分に見せた笑顔とは、
…全然違った。
泣きそうになる。
『純也、帰らないの?』
『生徒玄関で待ってて。
すぐ行くから!』
明らかに恋人同士の会話だと、思った。
夏実と呼ばれた彼女は、あたしに気付くと、軽く会釈してくれた。
いい子そうだな…。
姫芽に、一緒にいるとこを見られた。
あたし……ちゃんと笑えてたかな…。
『……』
『で、田口さん…だっけ?
なんか話あるの?』
『……んーん。
いいよ。
彼女のとこ、行って。
呼び止めて…ごめんね』
『…そっか。
じゃあ、またね!!』
………。
またね…か…。