わたしたち、別れます。
彼とは、もう二度と会わない。いや、会えない。
私が、彼の返信がまた早くなったことに、『何をいまさら』と思ったのと、同じことだ。
慶斗の面影に苦しんで、忘れようとした。いつかはわかってくれるのかなと淡い期待も抱いていた時期もある。
そりゃあそうだ、と、高校時代の友人たちは言うに違いない。
『ずっと彼を見てきたのは、るるなんだから』と。
数学が苦手なところ。
怒ると自分をコントロールできなくなるところ。
素直になってくれないところ。
ダメなところはいっぱい知っている。
でも、それ以上に、いいところをたくさん知っている。
笑うと幼くなるところ。
目標に向けて一直線にかけていけるところ。
私が困っていたら、さりげなく手を貸してくれるところ。
いっぱいあるからこそ、好きって想いだけで我慢することができなかった。もっと、自分自身と向き合わないといけないと思った。
だからこそ、幸せな思い出を抱えたまま、お互い別の道をたどりたいと思った。
だから私は、この想い出を心のポケットにしまって、歩みだす。




私はその後、彼へ手紙を書いた。彼への想いを綴った。

この恋は、一生忘れられないのだろう。それでも、いいのだ。

また、夢の中であの日のことを思い出すかもしれない。

それで、いいのだ。

私は、大人になる。いつまで経っても、高校生の自分ではいられない。

同じ過去は、もうなぞらない。

きっと、あの日に流した涙は嬉し涙に変わるのだろう。

だからね。ありがとう。ばいばい。




わたしたち、別れます。









4本のガーベラの花言葉
【あなたに一生の愛を捧げます】
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