わたしたち、別れます。
でも、そんな日々ももう懐かしい。つい最近のことなのに。そんなふうに思えるほど、私を引き上げてくれたのは、彼に片想いしていた頃からの親友たちだった。
泣いて泣いて疲れ果てて眠ってしまった次の日に、連絡のつかない私を心配して家に訪ねてきてくれた高校時代の同級生、唯香と姫奈、美優に全てを話した。
穏やかで真面目な唯香は、
「別れ際にこんだけ悲しめるくらい、るるは金納のことを想ってたんだよ。これまでの時間は無駄なんかじゃないよ」
と言ってくれた。
おてんばな姫奈は、落ち込んでいる私を慰めようと思ったのか、キッチンで何やらやっていたのだが、焦げ臭い匂いが漂い始め、しっかりものの美優に怒られていた。
こんな性格も全然違う親友たちの励ましもあり、私は立ち直ることができた。
姫奈はその後、沢山の合コンに誘ってくれるようになったし、美優はいつもなら一人で向かうカフェ巡りに付き合ってと言ってくれるようになった。唯香は特に特別なことはしないが、良さげな男性を見つけると、さりげなくその男性をフォローするようになった。
そんな彼女たちの気遣いは心に染みたし、ずっと慶斗に振り回されたくない!と思った。そんな話を唯香たちにすると、
「強くなったじゃん」
「しっかり向き合いなよ」
と言われた。自分でもそれを実感して、地面にしっかり足をついて立てたような心地がした。
実際は、そんな強気ではなかった。慶斗が、忘れられない。
4年付き合った。知り合って5年が経った。すっかり情が移ったのか、まだまだ忘れられないのだ。
もう一度、慶斗に会おうか。でも、意地を張ってLINEもブロックしてしまった。どうしよう。
複雑な気持ちのまま、今日も眠りについた。


スマホが光っていたことには、気づかなかった。
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