わたしたち、別れます。
慶斗と、ちゃんとおわかれしよう。

大学3年、カタオモイ。

スマホの着信音ではっと目が覚めた。
あの頃の夢を見るのは久しぶりだった。幸せだったなぁと、感傷に浸りようになったが、慌ててそれを打ち消してスマホを手に取る。
『四葉大学総合病院』
びょういん…??少し首を傾げながら、心当たりがあるかなぁと考える。ちょうどそのとき、もう一度着信音が鳴る。相手は『四葉大学総合病院』。
「もしもし、、?」
「結城瑠琉さんのお電話でしょうか?」
「はい」
嫌な予感がしつつも、静かに耳を傾ける。
「金納慶斗さんが…」
慶斗が、心肺停止で入院した。そんな内容の電話だった。
「…えっ?なんで…?この前まで元気だったのに…」
「詳しいことは病院でお話ししますので、こちらまでお越しくださいませんか?」
「…わかりました」
電話を切ってから、しばらく茫然自失になってしまった。
慶斗が、入院した。
この前までは、元気だった。特に最近は、病気の一つもすることがなかった。いつも私が風邪をひいて、彼が看病してくれていた。なのに、彼が。
とにかく、病院へ行かないと。さっきまでのまでLINEをブロックするくらいの意地はどこかへ消えてしまった。
急いで身支度を整えて、タクシーへ飛び乗った。少しの時間も惜しい。
「四葉大学総合病院までお願いします」
「わかりました」
どうしよう、どうしよう。後悔ばかりが襲ってくる。無意識に両手を固く握りしめながら、彼のいる病院へと向かった。
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