わたしたち、別れます。
「私は女友達じゃないの!そんなに我慢できないの…」
そこで私は初めて慶斗の顔を見た。
「…じゃあさ、俺も言うけど」
「お前、ワガママがすぎるんだよ。今もだよ。慣れ?なんじゃないの?お互いさ」
俺は家族じゃないし、と言った慶斗は、悲しそうだった。
「わがままばっかり聞いてたらさ、他の人とも遊びたくなるじゃん…いや、別に、他の女とデートって意味じゃないけどな?」
「…あっそ…」
「で、でもさ、家族だったら、そういうのも受け止めれると思うんだけど…」
「…そうね。じゃあ、実家にでも帰ろうかな。あと、別れよう」
「…え?なんでそうなるんだよ」
「ごめん。ばいばい」
私はスマホと財布だけ手に持って家を出た。慶斗が帰るまでは家に帰れないので、カラオケに入って時間を潰すものの、慶斗のことが頭をチラついて離れなかった。
まだ好き。
それは、わかる。でも、もう付き合っていられない。それに、これは慶斗だけの問題でもない。私の気が緩みすぎて、ほとんど家族みたいになってしまった所も悪いのだと思う。
その後、夜6時ごろに家に戻ると、置き手紙を残して慶斗はいなくなっていた。
『るるへ。
ごめん、言いすぎた。俺は、るるのワガママなところも好きで付き合ってるつもりだった。けど、思わず言ってしまった。
ほんとごめん。るるが俺と話す気になれたら、電話してほしい。』
鍵はポストに入っていた。こういう細かい気遣いができるから、忘れられない。私はそのまま、床にへたり込んでしまった。
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