PRAY
…………。視界が、霞んでいる……。ここは…?

おーい、おーい!おーい、おーい!

誰かが遠くから叫んでいる。まるで僕を誘うかのように。

無意識のうちに、僕はその声の方へ歩みを進めていた。

どこか懐かしい…。だんだんと人影が見えてきた。影は3人いた。その1人はどこか見覚えのある影だ。

僕ははっとした。そこには母さんがいた。懐かしい姿にすぐに駆け寄りたかった。

けれど、何かが邪魔をしている。すぐにでも母さんの方へ行きたいのに。それどころか、歩く速度も落ちてきた。

(どうして…)

その理由を知っている。でも思い出したくない。だって、だって……!
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