PRAY
またあの耳障りな声が耳に張り付いてきた。

違う!違う!違う!だってあれは、本当に事故だったんだ!!

ありもしない声に声を荒らげる。どこか虚無感を抱きながら。

知ってる。知ってるよ…。もう母さんは死んでる。でも!僕はもう十分頑張っただろう!?
もう辛いんだよ…!もう、いいだろ…。

全てを投げやり、僕は立ち上がった。

知らない。これは元より僕は何にも悪くないじゃないか!

さっきまで錆び付いていた足が急に動力を取り戻し、母さんの方へ駆け寄った。

真っ暗で、視界は霞んでて、絶望そのものを具現化したようなこの空間を1秒でも早く立ち去りたい!

あと腕1つ分大の距離に届いた時、誰かに右腕を掴まれた。
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