PRAY
………。生きるよ。僕。

振り返って、普段は直視しない顔を見ながら、そう言った。

心もとなしか、彼の表情がぱっと明るくなった。

『そうか。良かったよ。本当にありがとう。よければ、君の左手を拝借しても?』

冗談混じりに彼はクスッと笑って膝立ちし、まるでプロポーズをするように左手を差し出してきた。

僕も思わず微笑んでしまった。そして右手を差し出した。すると目の前がパァっと光だし、真っ暗だった空間が嘘みたいに光り輝いた。

後ろを振り返っても、母は既にいなかった。
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