どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「万由、寝てんのか?」
いつの間にか、デスクに顔をくっつけて思い出に浸っていた。
「これ、できたばかりの案内状」
圭史さんと私で思いついたイベントの案内状が出来上がった。
「いい!すごくいい!!これ、参加者結構集まると思う!」
「だろぉ~?吉田に頼んだんだ」
吉田というのは、圭史さんといつも行動を共にしている部下で、なかなかのイケメン。
しかも独身、30代ということで、圭史さん同様に会社内の女性社員から人気がある。
「じゃ、もう一回ここでエッチする?」
「えっ!?」
「嘘だよ。お前、本気にしただろ」
「してないです!!」
私が残った仕事を片付けていると、横からちょっかいを出してくる。
私のあごに手を近づけて、
「今日はフロントホックなんだ?万由ってば、エッチだな」
と、後ろから胸を触る。
「社長!!ダメです!今は真剣に仕事してるんです」
と強い口調で言うと、飼い主に怒られた子犬のようにしょんぼりした。
「ごめんね、あとでね」
「俺も手伝う」
それから、圭史さんは懐かしい懐かしいと言いながら、伝票の入力を手伝ってくれた。
「万由の新しい得意技発見した。計算機、めちゃめちゃ速い!」
「でしょ~!これは入社した頃、計算機使ってばかりだったから鍛えられたの」
「社内で計算機早打ち選手権でもやる?お前、優勝だろ」
「そんなことない。経理の人には負けるよ。ほんとに速いから」
それにしても、一緒に仕事してると楽しいなぁ、圭史さん。
こんな風にずっと一緒にいたいな。
それって、やっぱり結婚ってことなのかな。
ささいなことがこんなに楽しくなるんだもん。
一緒に暮らしたらどうなるんだろう。
一緒の家にいるなんて、想像しただけで嬉しくなる。
圭史さんのこと大好きだなぁ、私。
「好きだよ、万由」
後ろから抱きしめられて、体が熱くなる。