どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「パーティーの夜、先方の社長さんが俺を気に入ってくれて、そのまま料亭で飲んでいた。それから、パーティーに来ていた若い部下達がカラオケで飲んでいるからと聞いて、途中からそっちに顔を出した。すぐ帰るつもりだったけど、盛り上がっているところに入ってさすがに抜け出せなくて……気づいたら2時回ってた」
「うん、うん。仕方ないよ。圭史さん、付き合いもあるって分かってるから」
「そのカラオケには取引先の部長と、社長の娘さんも一緒に来た。やましいことは何もないけど、2時まで一緒にいたのは事実で。誤解されても仕方がないと思う」
具体的な説明をしてくれて安心しているのと同時に、リアルに想像できちゃってつらい。
「私は、そのことより……何もできない自分が悔しいの。圭史さんの彼女としての自信がない。社長令嬢は美人で英語も話せて、圭史さんのこと気に入ってるし、そのままその人と結婚した方が会社にとっていいんじゃないか、とか考えてしまう私が大嫌い」
「万由……」
もう一度強く抱きしめてくれた。
もう何が言いたいのか全然わからないけど、言いたいことを言うなら今しかない。
「知らないことがいっぱいで、仕事のことなんて聞いてもわからないけど、大丈夫だよって言われても心配だもん。何があったのかな、どこかでトラブルかなって。圭史さんのオアシスになりたいのに、全然なれてないもん。私…… むしろ、圭史さんの重荷になってるんじゃないかなって思って、もうわけわかんないの」
「万由、こんなお前初めて見た。ありがとな。俺、わかってなかった。ダメだな」
優しくおでこを撫でる圭史さんと、目が合う。
目が合うとまた涙が溢れる。
まだぐちゃぐちゃな気持ちが……消化できない。