どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「会って、ひどいことを言われるかもしれない。でも……会ってくれる?」
「私はいいけど、今のこの状態で大丈夫?」
「ああ、もう何度も万由のことは話してる。会社のために結婚する気はないってことも。お見合いもしないって」
どういう結果になろうとも、一度会うというのはいいことかもしれない。
エレベーターで話したことがあるのも1回くらいで、私は相談役を全然知らない。
「秘書課の、中井さんって知ってる?親父の秘書の」
「あ、知ってる。ベテランの人だよね。スラっとした」
「そうそう。彼女は実は知ってるんだ。俺と万由のこと。味方になるか敵になるかはわからないけど、口は堅いと思う」
社員食堂で、社長令嬢が来るパーティーのことを話していたのは彼女だった。
口が堅いというのは信じがたいけど。
でも、吉岡先輩の友達だったはず。
「俺と親父が言い合ってるのを何度も見てるから、知ってる。俺もあえて、話はしてないけど、女性としては万由の気持ちがわかると思うんだけどな」
「吉岡先輩と同期だって言ってた」
「あ、そうそう。だから、昔は飲みに行ったりもしていた仲だけど、親父の秘書になってからは全然で。でも、親父も中井さんの意見は大事にするから、味方になってくれるといいんだけど」