どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~

びれが取れて、私は圭史さんのご実家を出て、車に乗った。


「はぁ、深呼吸深呼吸」

「ごめんな、万由。親父がひどいこと言って」

「全然!思ってたのと違った。もっと、言われると思ってた。ドラマみたいに、別れなさいってお金渡される想像もしてた」

「だな、俺もそれ、想像した。親父はああ言ってるけど、万由のこと気に入ってると思う。かなり、中井さんからのフォローもあると思う」

「そうそう!中井さんのおかげだよね。味方になってくれてるのかな」


圭史さんは首をかしげて笑った。


「台湾、相談もせずに行くと言ってごめん」

「私も行くべきだと思った。3か月なんてあっという間だよ」

「寂しいな」

「でも、これからずっと一緒にいられるんだから、3か月なんて短い」

「3か月って言ってるけど、それはスムーズに進んだ場合で、最悪半年くらい行くことになるかもしれない。会議で、俺と吉田が行く案も出てたんだ。今回は大きなプロジェクトだから。でも、俺は……万由を置いてはいけないと思った」


そうだったんだね。
ちょっと前の弱い私なら離れることはできなかったかもしれない。


「今の私なら大丈夫だよ」

「強くなりすぎるなよ。俺の前では無理するな」


そっと、おでこにキスをしてくれた。


半年離れていたって気持ちが変わることなんてない。

それはわかってる。

ただ、会いたい時に会えない。
それは寂しいね。



< 151 / 189 >

この作品をシェア

pagetop