どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
びれが取れて、私は圭史さんのご実家を出て、車に乗った。
「はぁ、深呼吸深呼吸」
「ごめんな、万由。親父がひどいこと言って」
「全然!思ってたのと違った。もっと、言われると思ってた。ドラマみたいに、別れなさいってお金渡される想像もしてた」
「だな、俺もそれ、想像した。親父はああ言ってるけど、万由のこと気に入ってると思う。かなり、中井さんからのフォローもあると思う」
「そうそう!中井さんのおかげだよね。味方になってくれてるのかな」
圭史さんは首をかしげて笑った。
「台湾、相談もせずに行くと言ってごめん」
「私も行くべきだと思った。3か月なんてあっという間だよ」
「寂しいな」
「でも、これからずっと一緒にいられるんだから、3か月なんて短い」
「3か月って言ってるけど、それはスムーズに進んだ場合で、最悪半年くらい行くことになるかもしれない。会議で、俺と吉田が行く案も出てたんだ。今回は大きなプロジェクトだから。でも、俺は……万由を置いてはいけないと思った」
そうだったんだね。
ちょっと前の弱い私なら離れることはできなかったかもしれない。
「今の私なら大丈夫だよ」
「強くなりすぎるなよ。俺の前では無理するな」
そっと、おでこにキスをしてくれた。
半年離れていたって気持ちが変わることなんてない。
それはわかってる。
ただ、会いたい時に会えない。
それは寂しいね。