どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
Love31 万由の存在~圭史SIDE~
Love.31 万由の存在 ~圭史SIDE~



スーツケースに荷物を詰め終え、準備は完了。

あとは、万由に会うだけ。



神保圭史、親父が一代で急成長させた会社の社長を任されている。

まだ4年目の新米社長の俺にとって、この仕事は今までで一番ハードなものになるだろう。


マンションの部屋から、夜景を眺めているとそこに浮かぶのは万由の笑顔だった。

3か月の出張が決まってから、アイツは全然弱音も吐かないし、寂しいとも言わない。

強くなったんだよ、というが、おそらく俺を気遣ってのことだろう。

俺がしっかり台湾で仕事ができるように、心配かけまいとしている。


それくらい、愛してるからわかる。

でも、その万由の優しさをありがたく受け止めるのがいいのかもしれない。

寂しいと泣いて欲しいわけじゃない。

行かないで、と言われてもつらい。

でも、頑張りすぎる万由を置いていくのが心配にもなる。



今まで、この部屋に呼んだことはなかった。

それは、会社が借りている部屋で、同じマンションに腹違いの弟も住んでいるし、親父が社長だった頃に働いていた上司もいる。

万由を連れてくるにはリスクが多すぎた。

だけど、今日だけは……。

ここで一緒に過ごしたい。
朝まで。


明日の朝、俺は日本から台湾へと出発する。

途中帰国も難しいだろうと言われているし、万由には本当に会えなくなる。





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