どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
Love32 会いたい人
Love.32 会いたい人


秋の夜風は身に染みる。

10月にもなると夜は肌寒くなる。

ビルの間を吹き抜けていく秋風。



会いたい人はただ一人。

毎日、いつもいつも想っている。



9月から台湾へ出張に出かけた圭史さんは毎日必死で働いている。

英語と日本語を織り交ぜながらなんとか頑張っていると言っていた。


出発の日、会社を休んで空港までお見送りに行った。

私がプレゼントしたネクタイをしてくれた圭史さん。

後ろ姿を見送った後、寂しくてトイレで泣いた。

でも、泣いていても寂しがっていても会えないものは会えない。




だから私は、会えない時間に自分磨きをすることにした。

習い始めた英会話の回数も増やし、毎日、経済の勉強をするために新聞を読んだ。

社長の妻として必要なことは何かと考えた。

圭史さんが出張に出かける前は、会社を大きくしたい相談役と、会社を充実させたい社長はいろんなことでぶつかるようになっていた。

相談役は、きっとぶつかってくる社長の方が嬉しいと思う。

相談役からの社内報のメッセージに、
これから会社を背負うのは社長と社員達、と書かれていて、圭史さんも喜んでいた。




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