どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~

ここ最近は会社帰りに、カフェに立ち寄り、あったかいカフェラテを飲みながらスイーツを食べるのが日課になっていた。

今日は、新作抹茶バウムクーヘンをお皿に乗せた。


定位置は一番奥のソファ席。



ここで、英語の勉強をしたり、本を読んだりしている。

イヤホンで英会話を聞くのは電車の中だけ。

だって、このカフェ、素敵なジャズがかかっているからそれを聴かないのはもったいない。


「ここ、ご一緒してもいいですか?」


英語の日常会話のフレーズ集をノートに書き写し終えた時に声が聞こえた。

顔を上げると、さっきお疲れ様と言って別れた新井君が立っていた。


「ここに入るのが見えたから、ストーカーしちゃいました」

「びっくりした……」

「一緒にコーヒー飲んでもいいですか」

「うんうん、もちろん」

私は英語の本を閉じ、カバンに入れた。

注文しに行く新井君の背中を見つめていると、圭史さんを思い出す。

もっとガッチリしていて背も高いけど、どことなく似ている髪型と動き。

サッカーで鍛えた腕の筋肉はシャツの上からでもわかる。


「俺は、マロンパイにしました」


マロンパイとコーヒーをトレーに乗せ、新井君が前に座る。


あのキャンプの日から、そういう話はしていない。

仕事の話や、他愛もない会話は毎日している。


気まずくならないよう、お互いに気を使っているおかげで以前と変わらずに接することができている。


< 160 / 189 >

この作品をシェア

pagetop