どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「どうっすか」
「何が?」
コーヒーを飲もうとカップを持ったまま、新井君が口を開く。
「社長、海外行っちゃって、寂しくないですか?」
「え、だから……社長は関係ないって」
「隠してもバレバレですよ。社長がいなくなってからちょっと元気ないし、誰かが社長の話をするとすごい嬉しそうな顔してるし。どういう関係かはわかりませんが、小久保さんが好きなのは、もうわかってます」
「…………」
もうこの話題は出ないと安心していたのに。
まさかの直球に、私はただ黙ってカフェラテを飲んでいた。
「権力や金のある人は、俺は信じちゃいけないって思ってます。社長が小久保さんに好意を持っていたとしても、この先つらいことがたくさん待ってる」
「うん。そうかもしれないね」
心の奥底では、ちゃんとわかってる。
生半可な気持ちで結婚できないってこと。
いろんな試練が待ってるってことも。
でも、信じちゃいけないとは思わない。
圭史さんのことは信じられる。