どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「俺じゃ、ダメですか」
「……まだ、私のこと……?」
「忘れようと思って忘れられるもんじゃないですね。なんせ、毎日会ってますから。社長なんて仕事ばっかりだし、どっかの金持ちのご令嬢と結婚するって噂だし、好きになってもいいことない」
「忘れようと思って忘れられないのは、私も同じ。身分違いの恋なんて言ったらかっこいいけど、ほんとに私なんかが好きになっちゃいけない人だって思ってた。でも、だからって忘れることなんてできない」
もう隠すのも限界。
バレてるなら、もういいや。
話してしまおう。
私は、バウムクーヘンを口に運んだけど、味がほとんどしなかった。
会いたいな、圭史さんに。
今すぐ会いたい。
「愛人とか不倫とか、そういうの、当たり前の世界なんですよ」
私の気持ちも知らないで、新井君はどんどん追い詰める。
「そうかもしれない。でも、私はこの気持ちを隠して生きていくことはできない」
「社長が結婚したら、どうするんですか」
「それは……忘れなきゃいけないと思う」