どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
この会社の面接を受けた時も、俺の態度は悪かっただろう。
人事部の人だけだと思っていたら、そこに社長が座っていた。
「僕は、出世したいとは思いません。自分らしく働き、仕事を誇りに思えるように頑張ります」
と言った俺に、社長はすごく共感してくれた。
「新井君は、俺に似てるな」
と言った。
何言ってんだよ。
二代目社長のボンボンが。
どこが俺と似てるって言うんだよ。
「俺も社長になってまだ4年目の新人なんだ。社長になりたいなんて思っていなかったのに、社長になった。でも、なったからには、その場所でしっかり仕事をしたいと思ってる」
社長らしくない風貌と話し方。
憎むべき俺の嫌いな地位も名誉もある人なのに、俺の固定観念を変えられた。
その時から、社長は俺のライバルになった。
俺が描いていた社長像と違い過ぎた。
俺の中では、母の愛人だったアイツのようなヤツが社長の代表格だった。
ずるくて、なんでも金で解決して。
でも、違ったんだよ。
面接受けに来た初対面の若造の話をちゃんと聞いてくれてさ。
ちゃんと目を見てくれて。
同じ人間なんだなって、そう思える人だった。
この会社で働きたいと思った。
いつか、社長に認められたい。
この社長の元で……
社長を超えてみたい。
いろんな意味で。
勝ちたい。