どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~


「ねぇ、小久保。クリスマスどうすんの?」


パソコンの画面を見ながら、吉岡先輩が話しかけてきた。


「う~ん。予定なしです」

「一緒にパーティーでもする?」

「独身最後のクリスマスなんですから、佐竹さんとふたりで過ごしてくださいよ。私は大丈夫ですから」


何かと気にかけてくれる吉岡先輩は、飲みに誘ってくれたり買い物に付き合ってくれたりと、私の支えになってくれた。


2週間後には、もうクリスマス。

クリスマスムードが高まっていて、さすがに会いたくなる。

買い物をしていてもクリスマスソングがかかっているし、クリスマスを意識してしまう。

一緒に過ごしたいのは、正直な気持ちだけど、今年は我慢、我慢。

これから先、ずっと一緒に過ごすための我慢。



数日後、ランチから戻り、デスクでコーヒーを飲みながら椅子に腰かけ吉岡先輩と話している時だった。


「あの、小久保さん」

声をかけてきたのは、新井君。

あのカフェでの一件でちゃんとお断りしてからも、普通に接することができたのは、新井君は何もなかったようにしてくれたから。
そこは本当に感謝している。



「ちょっといいですか?」


呼び出され、心配そうな吉岡先輩を置いて私は立ち上がる。


「あの、実は中井さんから……これを小久保さんに見せてあげてって渡されて」


中井さんって相談役の秘書さんだよね。

私は、新井君から受け取った封筒の中身を見て、涙が出そうになった。


「これ、仕事の資料で社長から送られてきた写真の一部なんですけど、端に社長が写ってたから、良かったら渡してほしいって」

「働いてる姿見れるなんて。嬉しい。ありがとう!!でも、新井君がどうして?」

「あ、コンパ頼まれたことがあって、顔見知りで……ってのも嘘臭いっすね」


苦笑いを浮かべた新井君。

これを新井君に渡すってことは、どういうこと?

新井君が私と圭史さんの秘密を知ってるってことを中井さんはわかっているってこと?






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