どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「おはようございます」
「あ、おはよ!メリクリ!小久保、聞いた?」
目をキラキラさせながら、小声で話す吉岡先輩。
「新井海、中井さんと付き合ってるらしいよ」
「え~!やっぱり!」
「小久保、予想してたの?」
私は、圭史さんの写真をくれたことや、新井君とのことを話した。
「今朝、中井さんから聞いたんだけど、まだ新井君には突っ込むのやめとくよ。大事な時期だしねぇ」
「社内恋愛、爆発的に増えてますね!」
「そりゃ、わが社の社長が実践してるんだから、これからもっと増えるよ」
なんとなく浮足立ったクリスマスイブの社内。
残業はしないように、と社長からの連絡があったと部長から聞いて、圭史さんらしいなと思った。
全社員が8時には帰るように、と。
そういえば、去年もそんなこと言ってくれていたような気がする。
圭史さんなら、型破りな社長になれるはず。
【遅くなってごめん。明日はクリスマス。会えなくてごめんな】
ショッピングモールをブラブラしていると、メールが届く。
シンプルな圭史さんらしいメールに、
【残業なしにしてくれてありがとう。みんな喜んでたよ。今日は吉岡先輩とデートです】
と返事した。
ひとりのイブだと心配しちゃうもんね。
なんとなく、今日の吉岡先輩とのデートは圭史さんが吉岡先輩に頼んだんじゃないのかな、なんて思ってる。
ひとりだとかわいそうだからって。
そんなことをしちゃう優しい人たちだから。