どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「小久保(こくぼ)、お先~」
営業部1の美人であり、サバサバした男らしい性格の吉岡先輩が、夜とは思えない爽やかな風を吹かせて手を振った。
「お疲れ様です」
私の声は誰もいなくなったオフィスに静かに響く。
私、小久保万由(まゆ)。
営業3課の営業事務をしている。
もう少しで社長と会えると思うと残業もつらくない。
「社長の命令守らねぇで何やってんだぁ?」
振り向くと、そこにはグレーのシャツに紫色のネクタイをした愛しい人が立っていた。
「圭史(けいし)さん、あ、社長!」
「待ちくたびれて眠くなってきたから探しに来た。コーヒー飲む?」
手にはふたつの缶コーヒー。
7月のオフィスはクーラーがよく効いていて寒い日もある。
冷え性な私にホットオーレ。
「……あったかい」
「どう?お前の気持ちわかってるだろ?さすが俺」
ドSなニヤリ顔で私に近づく。
普段は厳しく、仕事のできる敏腕社長が、
私の前では甘くてとろけちゃうような甘い溺愛彼氏になる。
「うん。ありがと」
「ふふ。タダで飲ませると思うなよ」
私を窓に押し付けるようにして、いきなりキスをした。