どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「緊張すんなよ」
大きな背中。
身長は、180くらいかな。
「いい匂い~」
「いっぱい食えよ」
案内されたのは、店の一番奥のソファ風の柔らかな椅子の席。
社長が選んでくれたコースは、言っていた通り女の子が喜びそうなかわいらしいメニューで、テンションが上がる。
デートなんだよね、これ。
こんな幸せってある?
「社長、たばこ吸わないんですか?」
これは、キスをしたときにもうわかっていた。
たばこの匂いはしない。
「ああ、吸わない」
「そういうのも好きです」
「ん?」
「いえ、吸いそうなのに吸わないのとかかっこいい」
社長はバ~カって笑った。
スモークサーモンのサラダ、スープ、
鯛とアスパラのトマトクリームパスタ、パン、
そして、デザート。
どれも美味しくて、おいしいおいしいって顔を見合わせながら食べた。
一緒に食事をするとわかることがある。
合うなって。
この人と食べているとよりおいしい。
それってすごく大事なこと。
「じゃあ、社長はバスケ部の合間に水泳部にも顔を出してたんですか」
「試合の前だけ、借りだされた感じ。水泳は小さい頃から習ってたから、部活まではしたくなくて」
高校時代の部活の話を聞いて、その当時を想像してニヤニヤしちゃったり。
「モテたでしょ?」
「俺は、あんまり女子と話さなかったから。そんなにモテねぇよ」
「嘘だぁ~!絶対モテてた」
「怖いって思われてたと思うよ。告白とかされても冷たく断ってたし」
そういう先輩っていたなぁって思い出す。
すごくかっこよくてスポーツ万能だけど、声をかけるなんて絶対できないような雰囲気の先輩。