どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「圭史さんは、どうして私を好きになってくれたんですか」
素直が気持ちをぶつけてみる。
「ん?」
「秘書課には美人でスタイルも良くて頭もいい人たくさんいるのに」
頭に浮かぶのは、スラっとしたスタイルのいい綺麗な女性ばかり。
「俺が俺でいられんのが、万由の前だけなんだ」
ちょっと眉毛を下げた表情が愛しい。
「俺もわからないけど、弱音吐けるのも、万由の前だけだし、オアシスになりたいとか言われたら…… もう、無理だよ」
ゆっくりと顔が近づき、キスをされると思っていると、ぎゅっと抱きしめられた。
「ぎゅっとなるんだよ。ここが」
圭史さんは、自分の胸をトンっと叩いた。
「俺はお前を守れるのかなって。結局傷つけちゃうのかなって……怖いんだ、正直」
「圭史さん、どんな未来になっても私は後悔しません」
物分かりのいい彼女ぶってしまった。
心の奥底では、傷つきなくない、別れたくない、ずっと一緒にいられたら……と望んでいる。
だけど……
言えないよ。
傷つけたくないからって別れを切り出されたら、と思うと平気な顔して笑ってる方がいいんだ。
別れたくない。
でも、いつか別れるかもしれないのなら、今はそばにいたい。
その別れが圭史さんの将来につながるのなら、それは受け入れるしかない。
それなら、今……
少しでも長く……隣にいたい。
「……んっ」
ほんのりコーヒーの匂いがするキスをした。
探り合う舌は、もうお互いの動きをわかっていて、自然とひとつになる。
のどの奥まで入ってくる舌、キスの音が響く車内。
私も圭史さんもいろんな想いを心に抱えている。
怖いと思う気持ちは、圭史さんの本音だと思うし、私にも怖い気持ちがある。
でも、そんな不安や恐怖を消してしまうくらいの愛しさがあって……
求める気持ちを止められない。
情熱的なキスの合間に見せる申し訳なさそうな顔が胸を締め付けた。