どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
最初のエッチでこんなにも我を失ってしまった私……
優しく服を着せてくれた圭史さんは、私のおでこや目にそっとキスをしてくれた。
「どうしよう、俺。もう本気だわ」
髪を整えた圭史さんはシャツのボタンを留めながら、私をじっと見た。
「私も……」
「信じていい?」
子犬のようなそんな目をして私の手に触れた。
「私も本気です」
「もう社内で会えねぇな。俺、まともにお前の顔見れないよ」
その後、また車を走らせた車内では圭史さんが家族の話をしてくれた。
圭史さんには、別の会社で働くお兄さんと、妹がいる。
その妹の旦那さんは、うちの会社で働いているのだけれど、勉強不足で大変なんだとか。
お母さんはお父さんとは違い、うるさいことは言わず、見守ってくれる存在なんだと教えてくれた。
「去年、肺を悪くして何度か入院しててさ。早く俺が一人前になって安心させてやりたい」
私は会ったことがないけど、同じ部の吉岡先輩が、とてもきれいな人だと話していたことがある。
圭史さんのお父さんも、ダンディーでかっこいいけど、きっとお母さんも素敵な人なんだろうな。
そして、別会社で働いているお兄さんも……きっと素敵なんだろうな。
「ありがたいことなんだよ。こんな時代に親の作った会社を継げるなんて。でも、俺は小さい頃からその重圧に耐えられなかったし、普通の家庭に生まれたかったと思ってたんだよな、ずっと」
本心だと思う。
他人から見ればうらやましい家庭でも、小さい頃から次期社長を担うことを期待されてるって、苦しすぎると思うんだ。