どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
圭史さんとバイバイして、深呼吸をして……家のドアの前に立つ。
楽しい気持ちのまま、帰れたらいいのに。
何も考えずに鍵を開けられればいいのに。
この時、一人暮らしをしたいと思った。
お母さんのことは心配だけど、私には私の人生がある。
幸せな気持ちで帰っても、いつも、家のドアが重く感じる。
家の中を見てどんよりと気持ちが沈む。
このストレスはハンパない。
それに、一人暮らしをすれば、いつでも圭史さんに会える。
人目を気にせずに、ゆっくり会える。
でも、それじゃだめなんだよね。
きっと圭史さんに話したら反対する。
目の前の現実から逃げたって解決しないってわかってる。
いつか、圭史さんを紹介して、素敵な人だってわかって欲しい。
そんな日が来るかな。
「……ふぅ」
自分の部屋へと行き、ようやく気持ちが落ち着く。
窓を開けて、月を見た。
こうしてゆっくり月を眺めたことって久しぶりだな。
その日はたくさんもらった愛の言葉を思い出しながら、眠った。