どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
ヒールを履いたら俺と同じくらい長身の吉岡さんは、社内でも目立つ存在。
サラサラの髪をかきあげる。
細いのによく食べる。
顔から想像する声よりも低くて、話す内容も毒だらけで。
平気で下ネタぶっこんでくるし、上司にも遠慮なく意見する。
男の俺から見てもかっこいいと思う。
仕事上でも尊敬してるし、あんな風になりたいと思う。
と同時に、認めてもらいたい。
褒められたい。
一緒にいたい。
俺の隣で笑って欲しい。
俺の手で幸せにしたい。
そんな風にどんどん欲張りになっていく。
いつか、いつか……
そう思っているうちにどんどん俺は彼女を好きになり、時間だけが過ぎていく。
そんな時に、いきなり大き過ぎるライバルの登場か。
神保社長をフる女なんているのか?
あんな完璧な人をフッたんだぞ。
俺なんか、絶対無理じゃん。
無理に決まってるじゃん。
BLにハマってるとか言ってるけど、この間までは海外ドラマにハマってて無理やり俺にDVD渡してきたし。
そういうとこも俺は好きだったりする。
スポンジみたいな人なんだよ。
苦手な人がいないし、誰かが勧めてくれたものをちゃんと自分も試してみる。
絶対吉岡さんと友達にならないだろうって雰囲気の人とも友達になっちゃうしさ。
このままじゃだめだ。
そう思った俺は、勇気を出して、彼女を飲みに誘った。