どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「吉岡さん、今日暇だったら飲みに行きません?牛タンのお礼におごりますよ」
「え~!マジで!エビで鯛を釣る作戦、成功だね。じゃ、フォアグラ食べたい」
「あ、ムリっす!焼き鳥くらいしか無理」
本当はフォアグラだってなんだって食べさせてあげたいのに、このやりとりが楽しくて。
「じゃあ、あの春雨みたいなの食べたい。中華の!あれあれ」
「フカヒレですか?あんな高いのおごると思います?」
「生意気!!いつもお世話になってる先輩にたまには高級なものおごりなさいよ」
「砂肝くらいですね~」
笑顔を見ているだけで幸せだった。
俺はトイレに行き、店を探す。
もちろん
【フカヒレのおいしい店】
酔わせてどうにかしようなんて考えていないけど、酔った彼女が最高にかわいいのは事実。
去年の忘年会で、飲み過ぎた吉岡さんが俺に絡んできて、寂しいの寂しいのって泣いたんだ。
で、2次会のカラオケボックスのトイレの前で、キスをしてきた。
あんなの覚えていないだろうけどさ。
俺にとっては忘れられないキス。
何が寂しかったのか、あの時ちゃんと聞けたら良かったのに。
「ねぇ、忠犬佐竹。どこ連れてってくれるの?」
「黙って俺についてこい」
ふざけてそう言うと、吉岡さんは俺の腕に自分の腕を絡ませた。
「いやぁ~ん。佐竹がそんなこと言うなんて」
一瞬だったけど、俺たちは恋人同士のように腕を絡ませて歩いた。