どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「え?ここ?中華じゃん。しかも、高級そうだけど大丈夫?」
自分から頼んだくせに、心配してくれるとこ。
吉岡さんらしい。
「いつもお世話になってるんで……」
「え、何~?気持ち悪い」
「はるさめみたいなやつ、食べたいんでしょ?」
「食べたい!!」
あんまり嬉しそうな顔をするもんだから顔をそむけてしまった。
こんな風にいつも吉岡さんの笑顔を見ていられる人はいるんだろうか。
実は彼氏がいるかもしれないし、好きな男がいるかもしれない。
もしかしたら、まだ神保社長のこと気になっているのかもしれない。
吉岡さんは、謎過ぎる。
俺達に見せる姿が、本当の姿じゃないのかもしれない。
「フカヒレ、頼んでいいっすよ」
「本気で?」
「はい、日頃のお礼っす」
「どしたの?佐竹。なんかあった?もしかして会社辞めちゃうとかないよね?」
「それはないっす」
「じゃあ、なんか相談があるとか?恋愛相談?」
普段は図々しいこと言うくせに遠慮してフカヒレを頼まない吉岡さんに代わって、俺が注文した。
「なに、これ!はるさめの100倍うまい!!」
「そうですね。俺は1000倍、うまいっす」
ふいに目と目を合わせて、微笑み合うことで、俺の気持ちは高揚していた。