どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
Love12 小さな嫉妬
Love.12 小さな嫉妬



圭史さんの出張が長引いていると秘書課の女性たちが話しているのを聞いた。

お土産にワインを頼んだとか、電話で疲れた声をしていたとか。

仕事上の付き合いだとわかっているのに、嫉妬しちゃう。

取引先の接待では、高級クラブやキャバクラに行くこともあるだろう。
私も耐える訓練をしていかなきゃ、彼女でいられない。



「今日ランチおごるから、ちょっと話聞いて」


吉岡先輩からのお誘いに、私は喜んで頷いた。


「もちろんです!佐竹さんは?」

「あいつは今日は、なし!」

「どうかしたんですか」

「……ラーメン食べながら話す」


ランチはラーメンのようだ。

圭史さんがいない社内は、なんだか不思議な感じ。

会うかな?とかいうドキドキがなくて……安心というか。

寂しいんだけど、そわそわしなくて楽ではある。



「あのさ、ラーメン吹き出さないでね、小久保」

ラーメンが運ばれると、おはしを割りながら吉岡さんが私をじっと見た。


「はい、覚悟して聞きます」

ゴホンとわざとらしい咳払いをした吉岡先輩。

「佐竹とエッチした」

「ゴホッ……えっ」


想像していた内容と全然違う上に、衝撃すぎて、ラーメンがのどにつまる。



「え?え?」

「あいつ、私のこと好きなんだって」

「え、えええええ?」


予想の斜め上すぎて、もう頭がついていかない。


「でね、私はあいつを男として見てなかったんだけど、なんかよくわかんないんだけど、エッチしてもいいかなって思ったんだよねぇ。なんでだろう」

「え~!もう、どういうことですか」


佐竹さんが吉岡先輩のことを好きなのかもしれないと思ったことはあった。

でも、あまりに面白いふたりだから友達として気が合うだけなのかなとも思った。

佐竹さんは童顔で優しいから女子社員からも人気で、その気になればすぐに彼女はできそうだった。


「マジですか……」


佐竹さんが吉岡先輩のことを好きだと知った今、振り返ってみると思い当たることは結構ある。


どんな気持ちで毎日接していたんだろう。

下ネタや、恋愛ネタも複雑な思いで聞いていたはず。


「エッチして、関係変わりそうですか」

「会社で会う佐竹はまだ男とは見れないんだよね。でも、すごい安心したんだよね。あいつと一緒にいると。……エッチは、生意気なくらいうまくて悔しいんだけど」

「え~!意外!あんなかわいい顔して、うまいんですね」

「そうよ。反則でしょ~!」


その話をしながら、圭史さんのことを思い出していた。
まだ経験豊かではない私にとって、圭史さんはテクニックも何もかもが上手過ぎて……びっくりする。




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