どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「……どうかな。好きにならないようにブレーキをかけていたってのは、あったかもしれない」
「…………」
好きな人から、過去とは言えこういう話を聞くのは悲しいし、ショック。
でも、知りたい。
やっぱり、ちゃんと知りたい。
「社長になることが決まっていて、俺は自由な恋愛なんてしちゃいけなかった。お見合いの話もあったし、吉岡にもそんなことをよく愚痴ってたから、吉岡だってそんな俺を恋愛対象とは見るわけがない」
「私、吉岡先輩のこと大好きなんです。だから、圭史さんの気持ち、わかるんです。男性女性問わずにズバズバ何でも言ってくれて、まっすぐな人で、経歴や肩書とかで態度を変えたりしないから、圭史さんにとっても特別な存在だったのかなって思う」
圭史さんは、握った手をもう一度ぎゅっと握ってくれて、まっすぐ私の目を見てくれた。
「今なら、わかる。好きじゃなかった。まだ好きにはなってなかった。万由を好きになった時、止められなかったから。親父に反対されようが、結婚相手が決まってようが、俺はお前を好きになってたよ」
真実はわからないけど、その言葉を信じよう。
過去も大事な、圭史さんの一部だから。
優しく私の髪に触れながら、優しい声で話してくれる。
私の彼氏は、最高に優しい。