どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~


その日から、圭史さんの仕事への意欲がますます高まったように思う。

帰りは0時を過ぎる日も多い。

取引先との飲み会、接待、打ち合わせ。


社長として、これからが大変なんだ。

今までは新米社長で済まされていたことが、4年経ち、本当の力が試される。

相談役がいなくてもしっかり会社を守っていける能力があるのか、みんなが圭史さんに注目していた。



「ねぇ、小久保。今日飲みに行くよ」


吉岡先輩に声をかけられる。


「はい!他に誰か誘います?」

「今日はあんただけ」


季節はもう春。新入社員が営業部に一人来て、華やかな雰囲気になった。

ピチピチの男の子。新井海(あらいかい)。


浪人して大学に入り、この春大学院を卒業した、現在26歳。学年はひとつ下だけど同い年。

初々しい彼は、すぐにみんなにかわいがられて、私も何度か吉岡先輩達と飲みに行った。

圭史さんに会えないことは寂しかったけど、こうして営業のみんなで飲みにいくことが多いおかげで、寂しさを紛らわせることができた。







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