どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「まだ残業してるのか?男連中は何やってんだ」
ストライプのシャツに紫色のネクタイをした神保社長。
こんな風に一対一で顔を合わせて話をするのは初めてだった。
「社長!すいません 、私がミスしちゃったので仕方ないんです」
「何をミスしたんだ?」
あの神保社長が私のデスクに近づき、隣の椅子に座った。
仕事に厳しいと有名で、イケメンなのに浮ついた噂もない仕事人間。
仕事となると目つきが変わり、冷たくて厳しいという噂もある。
密かに憧れている女子社員は多いけど、誰もこの高嶺の花に手は出せない。
私ももちろんそのひとりで。
廊下ですれ違うたび、少しでも顔を覚えてもらいたくて笑顔で挨拶をする。
エレベーターで一緒になった時なんて、22階で降りる神保社長と少しでも長く一緒にいたから、用もないのに23階まで乗っていたりして。
「会議資料のミスだな。会議なんてやらなくていいっていつも言ってんのに」
私の隣に座ったまま、パソコンの画面を見て、マウスに触れた。
綺麗な指。
がっちりしたスポーツマンタイプの体型なのに、指はとても細くて長くて。
あの憧れの神保社長が、私のマウスに触れているという現実に、顔が、カーッと熱くなった。