どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~


「入社した頃にお花見とかあったけど、ああいうイベントはもうしないの?」

「あ~、社長になる前はいろいろ企画してたんだけど、親父から社長になったら威厳が大事だとか言われて、最近してねぇな」

「今こそ、するべきですよ!何かイベント開催して、もっと社員と触れ合える場を作ったらどうですか?女子社員なんて、社長と話したことない人もたくさんいて……実際私もそうだったし、同じ部の佐竹さんなんて、社長のこと憧れだって言ってるし」


腕組みをした圭史さんはしばらく目を閉じて、考え込む。


「俺も少し考えてた。このままじゃダメだなって。何かいい案ある?」

「圭史さんが好きなこと、みんなとやりたいことは、あるの?」


社長への誤解を解くということは、社長のファンが増えるということ。

複雑な思いはあるけど、こんなに素敵な人ってことみんなに知ってほしい気持ちもあって。



「俺は、アウトドアかなぁ」

「バーベキューとかキャンプとか?!」


単純に、圭史さんとバーベキュー、キャンプへ行けることになったら、夢みたいに嬉しい!


「そうだな。キャンプできたら最高だけど、いきなり泊まりのイベントは参加者も集まらないかもしれないしな」

「そうかなぁ?キャンプしてみたい人多いと思うし、いいんじゃない?あとは、相談役がOKしてくれるかどうか、かな」


私がそう言うと、圭史さんは少し目を細めて遠くを見てから答えた。


「それは俺が越えなければいけない壁だな。……俺には壁だらけだな」

「ふふ、一緒に頑張ろうね」




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