どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~
「うつになるんじゃないかと心配した。不安というか常に何かに怯えてる気がして、それは親父のせいだけど、親父は向き合おうとしない。そういうの見てるから、俺は絶対そんな夫婦はイヤなんだ」
大きく息を吸った圭史さんと目が合う。
「万由、だから……こんなにお前のことを愛してるのにどっかの会社の令嬢と結婚なんてできない。お前を愛人にするつもりはない。時間はかかるかもしれないけど、俺を信じてほしい」
「圭史さん……」
こういう話をちゃんとしたことはなかった。
冗談で、『お見合いさせられるから俺に惚れるな』とかよく言ってたけど、本音で話せるのは初めて。
はっきりとは言わなかったけど、そういうことだよね?
待ってていいってことだよね。
溢れる涙がバレないように、私はカフェの横のシロクマを見つめていた。
ずっと一緒にいられるかもしれない。
ムリだとあきらめていたけど、やっぱりそれは建前で。
結婚したい。
大好きな圭史さんと。
「さてと、じゃ本来の水族館をじっくり楽しむとするか。最初から見直そうか」
「ふふ、そうだね。私達水族館なのに魚ちゃんと見てない」
「万由が俺を誘惑するからだぞ」
手を繋ぎ、普通のカップルデートをした。
目を合わせたり、肩をぶつけあったり、イチャイチャしながら水族館デートを楽しんだ。
来た時よりもずっと、圭史さんを近くに感じることができる。