どっぷり愛して~イケメン社長と秘密の残業~


「あたし、小久保のこと大事に思ってる。だからさ、最後まで守ってやってね。途中で捨てたりしたら、社長だからって容赦しないから」

「はは。ほんとに吉岡ならやりそうだな。安心しろ。俺は、あの時とは違う。お見合いでどっかのお嬢さんと結婚する気はない」

「よく言ってたよね。俺は決められたレールの上歩いてるとか、俺に惚れても無駄だぞ、とか変なヤツだった」


懐かしいね、あの頃はまだ自信もなかったんだろうな。
今とは違う。

「逃げてたんだと思う。恋愛しても、俺が社長ってことで相手を苦しめるんじゃないかって怖かった。だから、最初からそう言って、バリアっていうか」

日本酒を少し飲んで、頬が赤くなった社長は、遠い目をしていた。
見えている風景は同じだろうな。


「万由は、吉岡の話ばかりするんだよ。大好きな先輩だから、このままじゃだめだとか、どうしてかわからないけど、吉岡ともう一度話せってうるさくて」

「あたしにも、そうだよ。ほんと、バカみたいにいい子だよね。普通さ、彼氏の昔の女とか、絶対会わせたくないじゃん?」

「うん。そうなんだよな」


私は、深呼吸をしてから、勇気を出した。


「それには理由があって。あたし、社長に隠していたことがあって。そのことを小久保には話したんだ。そしたら、あの子このままでいいんですか?ってなったの」



首をかしげて、頭の周りにはてなマークがいくつも浮かんでいる社長。



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